不動産にまつわる法律問題は、関連法規が多数存在しているほか、建築実務や不動産ビジネスに関連する専門的な知見が必要とする場合が多くあります。 このため、プロジェクトを円滑に進めるためには、不動産分野に明るい弁護士のサポートが不可欠といえます。 当事務所では、建築・不動産業界の案件を数多く手掛けており、杓子定規なアドバイスに留まらず、実務的な側面やビジネススキームの観点から、より踏み込んだご提案をさせていただいております。
借地借家法を前提とした場合、賃料の金額が相場から不当に離れてしまった場合、オーナー側からの値上げ交渉や借主側からの値下げ交渉をすることが可能です。 これは、物価や税金などの社会経済事情の変動を考慮して、賃貸人と賃借人の衡平を図った制度です。 適正な賃料は、土地建物に対する租税その他の負担の増減、土地建物の価格の上昇低下その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の賃料との比較、当事者が賃料額決定の要素とした事情などを総合的に考慮して判断され、極めて専門的な知見が必要となりますので、お早めに弁護士に相談することを推奨いたします。
借地借家法を前提とした場合、法律に定められた手続の履践と正当な理由(正当事由)なしに、明渡しを迫ることはできません。賃借権は人の生活の本拠を保護している権利であるため、ほかの権利よりも大切に保護されています。ただし、近時は、耐震施工を前提とした明渡しなどは、建物の除却や建て替えの必要性があるため、裁判所において「正当事由」を認める例も現れております。 明け渡し・立ち退きの案件は、再開発などの大規模なプロジェクトの一環として行われる場合もあり、交渉対応等も迅速性が求められますので、早期に弁護士に相談をすることがプロジェクト成功の一助となるでしょう。
近時、竣工後10年を超えた建物の外壁タイルの剥落や、排水設備からの漏水など、これが施工不良によるものなのか、経年劣化によるものなのかについて、争われるケースが散見されます。 建築瑕疵については、施工当時の技術水準を把握することが肝要であり、建築工事標準仕様書(JASS)や公共建築工事標準仕様書などの代表的な仕様書の記載などを参考に、当時の施工水準を立証する必要があります。その結果、現時点における施工水準では不当と思われる施工でも、施工当時の技術水準・施工方法に照らすと施工不良には該当しないという例も見られます。 建築瑕疵に関する案件では、建築工事の実務に精通した弁護士のサポートが不可欠であり、専門技術的な知見をいかに裁判所に分かりやすく伝えることができるかがポイントとなる特殊な紛争類型であるといえます。
不動産に関連する案件は、規模が大きく、交渉も長期化することが一般的です。 この点、交渉途中において前提としていた事情が変動することや、経営的な意思決定の観点から、交渉案件が頓挫するケースも少なくありませんが、相手方からすると、契約成立に向けた準備や、具体的なプロジェクト進展のために一定の費用を支出している場合もあり、一方的に契約交渉を打ち切られた際には契約成立を信頼した相手方を保護する必要があります。 このように、交渉が一定程度成熟した段階で、相手方が契約成立に向けた強い信頼を抱いている場合、この信頼を裏切って一方的に交渉を打ち切った場合には、契約締結上の過失の法理に基づき、契約が成立すると信頼したことによって生じた損害について、交渉を不当破棄した当事者に対して負担させることができます。 もっとも、契約締結上の過失の法理は、信義則(民法第1条2項)を根拠とするものであり、これが認められるか否かについては、法律上の専門的な判断が必須となります。 したがって、契約締結上の過失が論点となる契約交渉の不当破棄や説明責任が問われる案件については、法律の専門家である弁護士のサポートが不可欠といえます。